AI人工知能・データサイエンスプロジェクト

カメラ画像とAI・機械学習を用いた非接触型の水位自動計測

本プロジェクトでは,画像解析による水位計測手法として,研究事例が少ない物体検出モデルYOLOを用いた手法を提案した.また,夜間における解析精度を高めるために,画像の撮影には近赤外線カメラを使用した.調査対象は,瀬戸内海に面する香川県水産試験場とし,現地沖に設置されていた柱の浸水面積の変化を利用し,水位を計測した.1週間の撮影画像データのうち,約 1.5日間の画像データ1830枚を教師データとし,YOLOv5 で機械学習を行い物体検出モデルを作成した.その他の期間の画像データについて,作成モデルにより解析を行い,出力される検出物体(水上柱)の座標データを用いて水位を算出した. 観測期間を通して,YOLOにより推定された水位と高松港の実測値のRMSEが昼間は9.91 cm,夜間は7.14cm であり,夜間において,昼間に比べて高い計測精度が記録された.

参考文献:

計測に用いたIoT計測機器類。WiFiに接続して、観測画像をリモートで確認。

可視・赤外カメラを用いた昼と夜の画像と機械学習による水面上の柱長さの自動検出結果

カメラ画像とAI・機械学習を用いたプラスチックの種類自動計測と質量推定

本研究では,YOLOとDeepSortを用いて,プラスチック浮遊物の動画データから,浮遊物の種類,個数,面積,質量を推定した.動画データには,室内開水路を流れるプラスチック製品を可視・赤外カメラで真上から撮影した動画を用いた.浮遊物の面積および質量の推定では,YOLOの検出結果であるBounding Boxを用いて,物体の回転を考慮した式により1個あたりの面積を推定し,プラスチック製品の面積と質量の関係により,推定した面積から質量を推定した.結果として,種類判別で正解率が0.83,個数推定でF値が約0.8,面積推定で決定係数R2が約0.8という精度が得られた.なお,質量推定では,個々の物体の推定精度は面積推定に比べて低かったが,総質量では,BottleとPackageについて,平均絶対パーセント誤差が10 ~ 30 %程度を記録し,実験室環境ではあるが,本手法の有効性が示された.

参考文献:

三宅壮太, 石塚正秀, 山本高広, 玉置哲也: YOLOとDeepSortを用いたプラスチック浮遊物の個数計測および質量推定, AI・データサイエンス論文集 2023 (印刷中).